転機(1)
―1986年、統一帝国は地図から"消滅"した。 その2年後の1988年、人生で何度目かの転機が俺に訪れた。 「お前がエミール・マテウス准尉*1か?」 休暇中に街で昼飯を食ってくつろいでた俺に会うなり、軍服姿の彼女はそう言い放った。 「G3のお偉いさんが俺に何の用でしょうか、ヴィヴリオG3大佐?」 相手のことは、色々と噂には聞いていた。良くも悪くも。 「ふん…評判どおりのようだな、"狂犬"エミール」 「……」 「まぁいい、お前に用がある。ここでは何だから表に止めてある車に乗ってもらおうか」 「…拒否した場合は?」 「後日、正式な命令として瑞穂基地まで出向いてもらうことになるが?」 「…分かりましたよ、大佐」 席を立ち大佐に連れられ表に出ると、黒塗りの防弾仕様の車が停まっている。こんなのが店の前に 停まってるなんてはた迷惑もいいところだ。大佐に促され車に乗り込む。大佐が乗り込み運転手に 指示を与えると、車が動きだす。 「さて、用件なんだが…単刀直入に言おう。エミール・マテウス准尉、G3に来る気はないか?」 「…は?それは俺を空軍からG3に引き抜くってことですか?」 「それ以外の意味に取れたら、たいしたものだ」 「…何のも目的で、俺なんかを?」 「私が第13実験部隊の指揮官なのは知っているな?…なら話は早い。平たく言えば優秀なテスト パイロットが必要なわけだよ」 「それで、俺は運悪く選ばれたと?」 「まぁ、そういうことだ。(書類を取り出し目を通しながら)地上での素行に目をつぶれば、優秀だ と報告にはあるんだが?」 「…そんなことは無いですよ。運が良かっただけですよ」 「運も実力のうちだと思うのだが?…まぁ、実際問題帝国軍に優秀な人材が不足気味だ。だからと いって、ヤシマの連中にあまり借りを作るわけにもいかないのだよ」 「そう…でしょうね」 「さらに言えばだ、新型機の開発が急ピッチで行われている。評価試験を行おうにも人手が足りな いのだよ」 「…?メッサー*2あたりが新型のヤーボ*3でも作ってるんですか?」 …この時点で嫌な予感がしていた。 (続く)
まぁ、色々突っ込みどころ満載ですがキニシナイ方向で。
id:stelsの中の人に「エミールは空軍所属、G3所属?」という話を振られ結局G3所属になったわけですが、そのときに"何故に空軍からG3に?"と思い書いてみました。
レポート以外にこんな長文書くの何年ぶりだろう…